屋根裏生活×やねうららいふ

機械・電子系ガジェット・本をこよなく愛し、いろなんことをやってみたがる人の、気まま記録。

「朝の屋上」「始める」「眼鏡」 #rendai

天堂まやさんは、「朝の屋上」で登場人物が「始める」、「眼鏡」という単語を使ったお話を考えて下さい。
http://shindanmaker.com/28927 #rendai

Twitterの診断メーカーでのお題なんですが、140文字縛りが厳しいので…。
ブログに上げておきます(^^;;。


登場人物の性別や容姿は、ご想像にお任せします(笑)。





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清々しい空気を、肺にいっぱい吸い込んだ。
ゆっくりと吐き出した息は、まだ少し冷たい。
金網越しに見えるのは、鉄筋コンクリート製の建物ばかり。
しかし、朝日に照らされた硝子窓はきらきらと輝いている。
仕事前の僅かな時間。
こっそりと屋上に出て、この空気と風景を堪能するのが好きだ。
もう一度深呼吸をしようと腕を開いたとき、背後から扉の開く音が聞こえてきた。
声を聞くまでない。
ずかずかと歩いてくる足音に、忍び笑いをもらしてしまう。
「くっそ。
また先越されたか」
忌々しげに吐き捨てられた台詞も、毎日のもの。
「また目覚ましのアラーム止めたんでしょ」
からかうように言ってやる。
「止めてねぇよ」
「じゃあ、なんで?」
突っ込んで尋ねると、押し黙った。
答えはわかっているものの、なにも言わずにいてやる。
痺れを切らしたのは、相手の方。
「…鳴ったのに、気がつかなかったんだよ」
ぶちぶちと、ぶっきらぼうに言って寄越す。
案の定の理由に、笑いが止まらない。
思わず目尻に涙が滲む始末だ。
かけていたフレームレスの眼鏡を外し、涙を拭う。
「笑い過ぎだろ」
不機嫌丸出しの声は、かなり尖っている。知らない者が聞けば、間違いなく射竦められるだろう。
だが、慣れてしまえば、それは照れ隠しのパフォーマンスだとわかるのだ。
とはいえ、このまま笑い続ければ、本当にヘソを曲げるだろう。
しょうがないな…と、眼鏡を外したまま彼に歩み寄る。
踵を上げて背伸びをすれば、男の頬が間近にあった。
今朝の春風のように軽く、唇で頬に触れる。
「これで、あいこ。ね?」
続きをねだろうとする腕から、さっと身体を離し距離を取る。
恨みがましく睨まれだが、その程度では、怖くもなんともない。
度の入っていない眼鏡を、慣れた仕草でかける。
仕事モード開始の合図に、恋人もさすがにしつこくは迫って来なかった。
「じゃ、今日もよろしく」
秘密の社内恋愛は、こうして深まって行くのだった。



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なお、個人的な方針で、お題項目はなるべく直裁な単語を使わないようにしています。
(140文字縛りを厳しいと感じる理由の一つ…)

直裁な単語を用いずに、どこまでお題に近寄れるかが、課題です。



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