屋根裏生活×やねうららいふ

機械・電子系ガジェット・本をこよなく愛し、いろなんことをやってみたがる人の、気まま記録。

髑髏城の七人Season月 上弦の月/下弦の月

『髑髏城の七人 Season月』
TBSテレビ:IHI STAGE AROUND TOKYO
http://www.tbs.co.jp/stagearound/tsukidokuro/

 

 

 

キャスト◇ 上弦の月/下弦の月


捨之介 ◇ 福士蒼汰/宮野真守
天魔王 ◇ 早乙女太一/鈴木拡樹
無界屋蘭兵衛 ◇ 三浦翔平/廣瀬智紀
兵庫 ◇ 須賀健太/木村了
霧丸 ◇ 平間壮一/松岡広大
渡京 ◇ 粟根まこと/インディ高橋
珊底羅の生駒 ◇ 山本カナコ/中谷さとみ
じん平 ◇ 村木仁/中村まこと
贋鉄斎 ◇ 市川しんぺー/伊達暁
頞儞羅の剣布 ◇ 人見早苗/肘井美佳
真達羅の爪月 ◇ 横山一敏/安田栄徳
極楽太夫 ◇ 高田聖子/羽野晶紀
狸穴二郎衛門 ◇ 渡辺いっけい/千葉哲也

 

 

 

 

 

☆以下、まともにネタバレです。

ご注意ください。

 

 

 

 

 

 

《あらすじ》
★上限/下限を、ライビュで一回ずつ観ただけなので、時系列や台詞はうろ覚えです。
★ふんわりと、こんなニュアンスの話だったな、と覚え書き程度で(笑)。

 


[一幕]
時は織田信長明智光秀に討たれ、豊臣秀吉が天下統一を目指し、残すは関東のみとなったところ。
関東には【髑髏党】という謎の一大勢力が幅を利かせていた。
……信長の没後、八年が経過していた。


物語は、【関東髑髏党】の本拠地・髑髏城から一人の少年が逃亡したところから始まる。
少年の名は霧丸。
彼は【髑髏党】に追われていたが、途中で出会った【関八州荒武者隊】に時間稼ぎを押し付け、自分だけが逃亡しようと画策していた。
そんな恩知らずな真似をしかけた霧丸を押しとどめたのが、「浮世の義理も、昔の縁も、三途の川に捨之介ってね。」と名乗る番傘を持った若き浪人。
刀の一振りも佩いていないが、捨之介は番傘一本で【髑髏党】の追っ手を伸してしまう。
難を逃れたが、【関八州荒武者隊】は軍師である渡京が裏切り【髑髏党】へついてしまう。もっとも、渡京は「自分の命が一番大事」であり、他人を裏切ることにはなんの躊躇いも持たない人物。
関八州荒武者隊】の兄貴分こと兵庫は、渡京が裏切ったことよりも、霧丸に利用されたことに腹を立てる。
『一声かければ二千人が集まる』と大ボラをつきつつ、実質は両手で数えられる仲間しかいない兵庫だが、『筋を通す』ことにかけては、天下一品。仲間たちも、兵庫の無茶振りに呆れつつ、その信念に惹かれて最期まで【関八州荒武者隊】を貫くこととなる。
天魔王率いる【髑髏党】に一族郎党を殺された霧丸は、【髑髏党】を憎み、また他の誰も信じないと頑なに心を閉ざしていた。
しかし、単独での逃亡生活で衣食住が足りず、怪我も負っていたために、兵庫たちの目の前で倒れてしまう。
自分たちをダシにして逃亡を計った霧丸を助けるのは気が進まない兵庫だが、捨之介の挑発にひっかかり、まんまと色街・救いの里【無界屋】へと二人を案内することとなる。

無界屋は、極楽太夫が取り仕切る【色街】。
だが、無界屋はただの色街ではない。
『夢と希望を売る』それが、極楽太夫の口癖である。
兵庫は母親にも近い年齢の極楽太夫にぞっこんだが、毎回軽くあしらわれていた。それでもめげずに果敢に口説くが、一向に相手にされない。
【無界屋】では、どれほど客が金を積もうとも、女が承諾しなくては抱くことは出来ない決まり。
兵庫はまたしても涙を飲む。
逆にたまたま居合わせた浪人・狸穴二郎衛門は、遊女ではなく年嵩の下働きの女を気に入り、熱烈に口説いた上で成功する。
一通り、いつものおふざけを繰り広げたあと、捨之介からの頼みで【無界屋】は霧丸の面倒を見ることとなる。
食事と寝床を与えた極楽太夫は霧丸の手を取り「(霧丸は)山の者の手だ」と告げた。
食事と少しの休息で元気を取り戻した霧丸は、そっと【無界屋】を抜け出す。
だが、彼の行動を見張っていた捨之介に見つかり、説得をされる。
霧丸を見つけたのは、捨之介だけではなかった。
【髑髏党】が霧丸を探し、待ち伏せていたのである。
霧丸を守りながら戦う捨之介は、数の上でも不利。
そこに、一人の美男子が颯爽と現れた。
【無界屋】の主人・無界屋蘭兵衛。
優美な見た目にはそぐわぬ圧倒的な強さで、捨之介と共に【髑髏党】を退却せしめる。
実は、捨之介と無界屋蘭兵衛は、かつての同僚だった。ただし、二人共【過去は捨てた】と言い、今の暮らしを楽しんでいると伝え合う。
その時、【無界屋】がやにわに騒然となった。
慌てて戻る捨之介と無界屋蘭兵衛、霧丸。
天魔王が【髑髏党】を率いて【無界屋】を襲ったのだ。
関八州荒武者隊】が果敢にも【髑髏党】に挑むが、数でも腕っ節でも敵わない。
それだけではなく、遊女たちも隠し持っていた【鉄砲】で応戦をしていた。彼女たちは、雑賀衆の生き残り。どこにも行き場がなかったところを、蘭兵衛と極楽太夫によって救われた女たちだった。
さらに狸穴二郎衛門が特別製の鉄砲を取り出し、天魔王を撃つがその【天魔の鎧】には傷一つ付けることは出来なかった。
万事休す……!と思われたとき、天魔王は、嘲笑しながらも兵を引いた。
天魔王は、捨之介、無界屋蘭兵衛の素性に気付いたのだ。
無界屋蘭兵衛は元の名を【森蘭丸】。
信長亡きあと、流れ流れて、関東の荒野の片隅に救いの里を築いた男。
同時に、捨之介と無界屋蘭兵衛も、【天魔王】の正体を察する。
かつて、共に信長を主人と仰ぎ、仕えた「人(じん)の男」だと。

また、捨之介と蘭兵衛は、狸穴二郎衛門の素性にも気付いていた。二人は、「ここは【無界屋】。客の素性は問わない」の信条に則り、口を噤む。

そして、執拗に霧丸が【髑髏党】に追われている理由も判明する。
彼は築城術で名を馳せた【熊木衆】の最後の生き残りであり、髑髏城の隠し通路を描いた絵図面を持ち出していたのだ。
秀吉との合戦を間近に控えた【髑髏党】としては、城の弱点となる絵図面を放置出来ない。血眼になって霧丸を探すのも道理であった。

 

 

天魔王と相対した者たちは、自分たちの最後拠り所である【無界屋】を守るために、【髑髏党】と一戦交える覚悟を決める。
だが、【天魔の鎧】がある限り、天魔王を斃すことは出来ない……。
捨之介は、「案がある。三日だけ待ってくれ」と無界屋蘭兵衛に告げ、姿を消す。


合間に、兵庫の父・じん平が登場し、「どん百姓の倅が、侍の真似事なんかするな!」と兵庫を連れ戻そうとする事件が発生。
だが、兵庫は侍としての生き様を貫くことを覆そうとはしなかった。
親子喧嘩の末、打ち所悪く倒れたじん平を裏山にそっと捨ててしまう。
久しぶりに農家の父親と話したせいか、兵庫の口調も田舎百姓に戻ってしまう。周囲から突っ込まれ、苦しい言い訳を続け、重苦しい雰囲気は霧散した。


場所は変わって、鍛治師の庵。
刀と花を愛し、【剣花道】なる妙な生き方に拘る贋鉄斎。
【髑髏党】の珊底羅の生駒が部下と共に贋鉄斎を亡き者にしようと襲うが、贋鉄斎の謎の【剣花道】により剣を使えなくされてしまう。
這々の体で逃げていく【髑髏党】の面々。
捨之介は、頭から剣を生やした贋鉄斎になんとも言えない気持ちになりつつ、天魔王や【髑髏党】について語る。
そして、【天魔の鎧】に対抗するための特殊な剣の製作を依頼、贋鉄斎もこれを呑んだ。
だが、敵は天魔王だけではない。
【髑髏党】の数は多く、どんな剣でも、数人斬り、突いただけで、なまくらになると説明する贋鉄斎。
その上で鍛治師は言った。
『剣がなまくらになるならば、その場で研げばいい』と。
贋鉄斎を危険に晒すことを渋る捨之介だが、頑固者は意見を変えてなかった。
対【天魔の鎧】の剣の完成には一日あれば十分という贋鉄斎に、あとを頼み、捨之介は妙な胸騒ぎを感じながら彼の庵を後にした。
なお、この後、【髑髏党】により贋鉄斎の庵は爆破されることになる。

 

一方、【無界屋】では、【髑髏党】に対抗するべく準備が着々と進んでいた。
女たちは煌びやかな衣装から、勇ましい戦闘服へと着替え、隠し持っていた鉄砲の整備をする。
関八州荒武者隊】も周囲の見回りや、戦時下の食事の支度にと、忙しく働いていた。
周りの喧騒から、そっと抜け出したのは、無界屋蘭兵衛。
戦友であり、保護者であり、庇護者でもある極楽太夫にも告げず、彼はたった一人で無界屋を出た。
彼が握るのは、『黄泉の笛』。
朱塗りの美しい横笛は、仕込み刀でもあった。
髑髏城を守る【髑髏党】を悉く斬り伏せ、単独で城へと乗り込んだ無界屋蘭兵衛。
後ろには、彼のあとをつける霧丸がいた。だが、天魔王のことしか見えていない蘭兵衛は、霧丸には気付かない。

 

 


[二幕]
髑髏城に乗り込んだ蘭兵衛は、天魔王に、『商売人・無界屋蘭兵衛』として商談を持ちかける。
それは、雑賀衆が隠し持っていた三百挺の銃と引き換えに、【無界屋】の住人の安全を確保すること。
だが、天魔王は、無界屋蘭兵衛ではなく《森蘭丸》に[信長の最後]を語り、共にかつての主人の理想を叶えようと誘惑する。
蘭丸は、信長の最期を看取れなかった。信長は蘭丸に「生きろ」と告げ、燃える本能寺から逃がしたからだ。
だが、天魔王は信長の最期に立ち会い、彼の言葉を聞いたという。
無界屋蘭兵衛としての自分と、敬愛したかつての主人の望みとの間で揺れる男。
天魔王は、【天魔の鎧】から面を外すと、無界屋蘭兵衛に渡した。
近くで面を目にした無界屋蘭兵衛……森蘭丸は、面が信長の髑髏(しゃれこうべ)で作られていることに気付いてしまう。
無界屋蘭兵衛の中の天秤が、森蘭丸の方に大きく傾いた。
天魔王はその隙を逃さず、蘭丸に秘薬を口移しで飲ませる。
蘭丸の唇から赤く滴るのは、信長の血から作られた秘酒。
薬を飲まされた時に、【無界屋蘭兵衛】は消えた。
そこにいるのは、信長を狂愛し、天魔王と同じ舞台に立つ森蘭丸
隠れていた霧丸は、蘭兵衛の取った行動に激しく怒るが、すでに【無界屋蘭兵衛】の心を捨てた蘭丸にはその言葉は届かない。
天魔王は、熊木衆が滅ぶ原因になったのは捨之介だとも告げる。
霧丸は無界屋蘭兵衛も捨之介も信じられなくなった。
絵図面は既に奪われているが、髑髏城は彼の庭。
天魔王たちに追い詰められながらも、絵図面に載せていなかった絡繰を発動されて、難を逃れる。
天魔王たちは霧丸を追おうとするが、それを止めたのは蘭丸だった。
優しさではない。
戦術として、先に斃すべき相手がいるからだ。

無界屋蘭兵衛の後を追って髑髏城に入った捨之介は、途中で霧丸と鉢合わせした上に問答無用で斬りかかられ驚嘆する。
だが、霧丸の口から無界屋蘭兵衛が蘭丸になり天魔王側についたこと、熊木衆の滅亡の原因が捨之介にあることを聴き、必死に少年を宥める。
慣れぬ刃物を振り回す霧丸に、「おまえの刃はどこに向かっている?」と問う捨之介。
「昨日に向かってるんじゃ意味がない」
熊木衆が滅ぶ原因になったことが自分であることを認めた上で、捨之介は霧丸を助けたいと切望する。
捨之介の言葉と、身体を張った説得に、ついに霧丸も折れた。
復讐ではなく、熊木衆として立派な城を作ることを誓う。
二人が和解したところで、城内の追手に見つかってしまう。その中には、【関八州荒武者隊】を裏切った渡京も居た。
捨之介は、霧丸に渡京に着いて逃げろと指示する。
言われた方も驚くが、「自分の命が大事なおまえなら、生き残れるだろ」と説明され、結局霧丸を連れて逃げる羽目になる。
結果、渡京と霧丸はなんとか無界屋まで辿り着くことが出来た。
一方、捨之介は多勢に無勢で、【髑髏党】に捕まってしまう。


舞台は、霧丸たちが戻る少し前の無界屋。
聞き慣れない鈴の音に、臨戦態勢だった雑賀衆の女たちが発砲。
だが、現れたのは【髑髏党】ではなく、兵庫の父・じん平だった。
兵庫は手下たちに命じて、父に大きな鈴をつけた上で、裏山に放置、さらには女たちに「不審な鈴の音がしたら容赦なく攻撃を」と根回ししていたのである。
関八州荒武者隊】の子分たちは、「兄貴の父親は自分たちにとっても、父です!」と無邪気にじん平を慕う。だが、じん平は「おまえら侍が持ち上げるから、倅が図に乗る!」と怒りが収まらない。
しかし、子分たちの純粋な想いが、頑なな父親の心を僅かに綻ばせる。
ほっと一安心し、偵察から戻らない兵庫を心配した子分が様子見に出ようとした時。
一本の矢が、青年の首を貫通した。
悲劇の幕開けだった。
【無界屋】を襲ったのは、かつての無界屋蘭兵衛----森蘭丸が手引きした、天魔王と【髑髏党】の一味。
果敢に戦う雑賀の女たちと、【関八州荒武者隊】。
だが、蘭丸が敵に回ったことで、数の上でも、戦力の上でも、【無界屋】には勝ち目がない。
次々に斃れていく女たち。
関八州荒武者隊】の若者たちも、致命傷を負いながら、極楽太夫とじん平だけは守る!弱い者を守れなければ兄貴に顔向け出来ない!兄貴のゲンコの方が痛い!と必死に敵に食いしばる。
だが、戦力差は圧倒的で、【関八州荒武者隊】も一人、二人と命を散らしていった。
極楽太夫は、蘭兵衛の変心に悲痛な叫びを上げるが、彼女の声も言葉も、《森蘭丸》には届かない。
そして、天魔王と蘭丸の目的は、【無界屋】の破壊ではなかった。
【無界屋】に逗留する浪人・狸穴二郎衛門。
彼こそが、天魔王たちの標的だったのだ。
なにしろ、彼の正体は、秀吉に与する武家の一つ----徳川家康なのだから。
打倒・秀吉を狙う天魔王と蘭丸に取っては、家康は邪魔な存在でしかない。
【髑髏党】の凶刃が家康に迫ったとき、どこからともなく武装僧侶の集団が現れ、彼を守護した。
彼らは、家康の家臣であり、警備を担う服部半蔵とその部下たちだった。
半蔵たちの介入により、天魔王たちは【無界屋】から引き上げていく。
入れ替わりに、兵庫・霧丸・渡京が、壊滅した【無界屋】へと戻って来る。
戦死した手下たちの骸に、悲痛な声を上げる兵庫。だが、生き残った極楽太夫に「みんな、立派だったよ」と諭され、死を悼みながらも彼らを労った。
極楽太夫は、【無界屋】が標的にされたのは狸穴二郎衛門こと家康だと知り、怒りから唾を吐く。
敬愛する主人への冒涜に半蔵は激昂するが、家康本人が押し留めた。また、去って行く極楽太夫たちを見送ったあと、懇ろになった女の骸の傍らへ足を運び成仏を祈った。【無界屋】で生き残ったのは、極楽太夫とじん平、そして半蔵たちに守られた家康のみだったのだ。【救いの里】と呼ばれた理想郷は、もうどこにも残っていない。


【無界の里】を出たのは、霧丸・兵庫・極楽太夫・渡京、そしてじん平。
隠してあった三百挺の銃は、蘭丸によって持ち去られていた。
だが、用心深い極楽太夫は、蘭兵衛にも内緒で一挺の回転銃を所持していた。
そこに、一人の男が姿を現わす。
捨之介が助勢を依頼していた鍛治師・贋鉄斎である。彼は捨之介に頼まれた特別製の剣を完成させたのだ。
兵庫も、背中に背負っていた刃を抜く覚悟を決める。過去に一度だけ人を斬ってしまい、以来、ずっと抜かずにいた刀だ。
-----抜いた刀は、赤錆が浮き、なまくら以下となっていたのだが。
鍛治師である贋鉄斎は、酷い有様の刀心を見て怒り狂う。が、しっかり手入れはしてやるのだった。


霧丸は「捨之介を助けたい」という提案をするが、彼が持っていた髑髏城の絵図面は敵の手中にあり侵入は困難だ……と他の者は、反対する。
そして、明かされる霧丸の正体。
彼こそが、熊木衆の本当の長であり、《天才》の呼び声も高い【赤針斎】本人だった。
祖父は、霧丸の身代わりとなって殺されたのだ、とも。
【赤針斎】は髑髏城の築城にも関わっており、当然、城内については絵図面などなくても全て把握している。
絵図面を奪って逃げたのは、豊臣軍に渡し、【髑髏党】を潰してもらうためだった。だが、今必要なのは敵討ちではなく、捨之介の命。
兵庫は、霧丸の顔を真正面から見て「おまえは変わったよ」と不器用に褒める。出会った頃の霧丸は他人を信用せず、利用することしか考えていなかったからだ。


霧丸を筆頭に、兵庫・極楽太夫・渡京・贋鉄斎、そしてじん平が、関東平野を髑髏城目掛けて駆け抜ける!

 


天魔王は、豊臣軍を討ち亡ぼすために英国と密約を結んでいた。
自分たちが関東で豊臣軍を引きつけ、手薄になった大阪城を英国軍が強襲。
盤石な計画のはずだった。
だが、ある一通の手紙が、天魔王の計画を狂わせてしまう。


天魔王は地下牢に放り込んでいた捨之介に、【天魔の鎧】を着せ、強力な薬を服用させた。薬の効果によって、非常に暗示にかかりやすくなり、捨之介は天魔王の《偽物》として仕立て上げられてしまう。
助けに来た仲間とも戦闘になるが、霧丸の機転により、窮地を脱する。
捨之介を含め七人となった仲間たちは、天魔王を討つため、天守閣を目指した。

次々と襲い来る敵に、捨之介が剣で斬りつけ突き、使えなくなると霧丸経由で贋鉄斎に古い剣を渡し、研いだばかりの剣を貰って、再び戦闘に。
のちに、百人斬りと語られる一場面である。

 

捨之介に自分の影武者を押し付けた天魔王は、蘭丸と対峙していた。
早く挙兵をと求める蘭丸に、「関東髑髏党は解散」だと告げる天魔王。
先日届いた英国からの手紙には、ポルトガルとの戦争に負けたため天魔王との同盟を履行出来ないと書かれていたのだ。
英国軍の強力なしに、大阪城は叩けない。
また、迫っている豊臣軍を相手にする余裕もない。
蘭丸は「部下を貸してくれれば戦場に出る」と交渉するが、天魔王は取り合わない。それどころか、蘭丸に刃を向けて来た。騙し討ちに遭い、流石の蘭丸も反応が遅れた。
さらに、天魔王は傍に控えていた珊底羅の生駒にも刃を突きつける。
「秘密を知る者は少ないほど良い」
主人の言葉を受け、生駒は自分から刃へ向かっていく。
命消えゆく間際の蘭丸に、天魔王は尚語る。
「信長様は、最後まで蘭丸の名を呼んでいた。戦のことは忘れ、幸せに生きろと。
----最期に傍にいたのは、この私だというのに!!」
かつて天魔王に聴かされた信長の遺言は偽りだったと知る蘭丸。
自分の耳で聴いた信長の言葉が、最後まで真実であったのだと悟る。

 

捨之介たち七人が辿り着いた時には、既に瀕死状態の蘭丸だったが、天魔王に向けられた攻撃から彼を庇う。
驚嘆する周囲に「ここでこの男を裏切れば、明智光秀と同じになる……!」と吐き捨て、倒れる。
事切れた蘭丸を尻目に、天魔王は一人逃げ出す。
極楽太夫は無界屋蘭兵衛の遺体を前に言葉を詰まらせ、捨之介は瞼をゆっくりと閉じさせた。


贋鉄斎から託された【斬鎧剣】を手に、天魔王が待つ場所へと進む捨之介。
信長の草(諜報員)だった捨之介は、【天魔の鎧】のことも知っていた。
その強靭さも。
だが、信長をよく知るだけに、弱点も見つけていた。
「繋ぎ目は壊していけば良い!」
鎧の一つ一つは強固でも、留め具にはそこまでの強度はない。
「第六天……。天から引き摺り下ろしてやる」
【斬鎧剣】で一つの留め具を壊すごとに、【天魔の鎧】は部分破壊----天が一つずつ落ちていく。
捨之介は【天魔の鎧】を剥がすごとに、【斬鎧剣】の刀心も抜きはなった。
捨之介が考案し、贋鉄斎が作り上げた【斬鎧剣】は、多層構造(入れ子)の剣だったのだ。
全ての部位が破壊され、天魔王は[人(じん)の男]となった。
捨之介は、天魔王を名乗っていた男に、秀吉に降伏するように勧告する。
だが、相手は最後まで自身が天魔王であり続けることを選んだ。
天魔王として果てた男。
捨之介は、かつての仲間をどちらも救えなかった。

 

しかし、感傷に浸っている暇はない。
豊臣軍は既に髑髏城内にも進軍を果たしており、城内に居れば皆殺しの憂き目に遭う。
【赤針斎】こと霧丸が隠れ道からの脱出を提案するが、捨之介は堅固に包囲されているため、隠し通路も無駄だと告げた。
そして、仲間たちの脱出時間を稼ぐために、自分がここに残る、とも。
だが、それは霧丸によって却下された。
自分が霧丸に向けた言葉が、霧丸から返ってくる。
守るべき相手からの叱咤に、捨之介はもうしばらく、意地汚く生きることを約束した。


なんとか髑髏城から脱出したものの、家康の兵に取り囲まれる捨之介。
天魔王が事前に《捨之介こそが天魔王》という噂を流布しており、既に秀吉の耳にまで届いているのだという。
川の中での戦いも虚しく、遂に捨之介は家康の前で膝を着く。
「自分の首を差し出せば、他のものに手出ししないと約束するか」
出された交換条件を、家康は承諾する。
捨之介は、川淵で生涯を終えようとし…………。
「天魔王の首はここにあります!」
割り込んで来たのは、【天魔の鎧】の兜と面を抱えた霧丸だった。
中身のない兜に憤る家康だが、霧丸は「天魔王の首」と言い張って退かない。
根負けしたのは、家康だった。
半蔵の反対を押し切り、捨之介を放免するように伝える。
無鉄砲な霧丸の行動に肝を冷やす捨之介だが、霧丸の要求はそれで終わらなかった。
「天魔王の首を取った者には金五百両」
どこかの浪人が言ってましたよね、と【無界屋】での狸穴二郎衛門の存在を匂わす。
兵庫や極楽太夫も、霧丸の尻馬に乗った。
半蔵は斬って捨てようとするが、狸穴二郎衛門……家康は、笑い飛ばすと、兵士に報奨金を運んでくるように指示を出す。
「このことが秀吉公に知れたら……」
「儂がなんとかする。
それにあの猿は信長公に執心しているから、この面があれば大丈夫だろ」
呑気な会話ののち、捨之介らには「二度と儂の前に顔を出すでない」と言い捨てる。
顔を合わせてしまえば、不穏分子として、処分するしかなくなるから。
二度目の恩赦は与えられないから。
「半蔵、この髑髏城を我が城とするぞ」
「この荒野の城をですか?!」
「それくらいでないと、祀れないだろうしな。
そして、この関東を平定し、いずれ京都、大阪よりも栄えさせてみせる!」

 

家康軍が退却し、やっと緊張が解ける面々。
報奨金の箱を開けるやいなや、さっさと自分の取り分を袋に詰め込み、姿を消す渡京。
取り分には一切手をつけず、静かに場を去ろうとする極楽太夫
兵庫は慌てて箱ごと抱えて太夫を追い、適当に金子を握らせる。
「とにかく生きてて欲しいんだ!!」
「……アンタはどうするんだい?」
「適当に田圃でも買って、百姓やるべ」
手下を失い、髑髏城では数多の人を斬った。元が百姓の自分には、侍は向いてないんだろう。
独白する倅を、叱咤したのは父親・じん平だ。
彼は【無界屋】で自分と極楽太夫を守って死んでいった若者たちに感銘を受け、【関八州荒武者隊】を存続させるべきだと張り切っていた。
また、極楽太夫に対して煮え切らない態度の倅を叱りつける。
父親の後押しを得て、兵庫は太夫に「一緒に生きてほしい」と懇願する。
年齢差等を理由に拒否する太夫だが、最終的には兵庫の熱意に絆され、源氏名ではなく本名の【りんどう】で呼んでくれと応えた。

贋鉄斎も、報奨金は要らないと言って旅立って行く。
彼は、じん平の愛用の鎌の研磨に感銘を受け、これからは剣だけでなく他のものにも目を向けようと誓う。

そして、捨之介。
彼もまた、金子は受け取らず、気軽な調子で背を向け去って行った。

霧丸はその背中を追いかけ、「あんたのために、すげえ城作るからな!」と宣言する。

 

 

捨之介 ◇
天魔王 ◇
無界屋蘭兵衛 ◇
兵庫 ◇
霧丸 ◇
いん平 ◇
珊底羅の生駒 ◇
贋鉄斎 ◇
渡京 ◇
頞儞羅の剣布 ◇
真達羅の爪月 ◇