BLEACH☆SS
まるで、元から存在しなかったかのように、なにもかもを消し去っていった。 偲ぶものは確かにひとつとして、この手にはない。 けれど、声を、不器用な優しさを覚えている。 忘れてなどやらない。 ささやかな、復讐。 もう戻らない日々への郷愁。 されど、別…
まるで、元から存在しなかったかのように、なにもかもを消し去っていった。 偲ぶものは確かにひとつとして、この手にはない。 けれど、声を、不器用な優しさを覚えている。 忘れてなどやらない。 ささやかな、復讐。 もう戻らない日々への郷愁。 されど、別…
唐突な静寂だった。 雑踏の中、ただ一人取り残されたような違和感。 しかし、選んだのは己なのだ。 聞こえなくなるより、見えなくなるより、感じられなくなるより、存在が残ることを望んだ。 降り続いた雨を、止ませる術を与えてくれた世界を。 悔やむことは…
唐突な静寂だった。 雑踏の中、ただ一人取り残されたような違和感。 しかし、選んだのは己なのだ。 聞こえなくなるより、見えなくなるより、感じられなくなるより、存在が残ることを望んだ。 降り続いた雨を、止ませる術を与えてくれた世界を。 悔やむことは…
白銀の蛇は、愛を知らず、温もりを知らず。 闇に生き、闇に消える。 心の中に抱えた灯りが、生涯唯一の温もりだと気付いたのは、灯火を守れた瞬間だった。 うっすらと笑い、蛇は満足げに首部を垂れた。
白銀の蛇は、愛を知らず、温もりを知らず。 闇に生き、闇に消える。 心の中に抱えた灯りが、生涯唯一の温もりだと気付いたのは、灯火を守れた瞬間だった。 うっすらと笑い、蛇は満足げに首部を垂れた。
凪ぐ、という意味を初めて知った。 覚悟を決めていたせいもあるのかもしれない。 面倒なだけの己の力を、何時の間にか頼みにしていた。 だが、喪くなったところで、なにが変わるのだろう。 力は喪った。だが、誰かを守る方法が一つでないことを知っている。 …
凪ぐ、という意味を初めて知った。 覚悟を決めていたせいもあるのかもしれない。 面倒なだけの己の力を、何時の間にか頼みにしていた。 だが、喪くなったところで、なにが変わるのだろう。 力は喪った。だが、誰かを守る方法が一つでないことを知っている。 …
笑顔の裏に、隠している。 隠していることすら、綺麗に覆い隠している。 猩々と哭く声に耳を傾けることなく、男は帽子の下から、ちらりと視線を走らせた。 紅の一閃が、音もなく夜を切り裂く。 倒れ伏す相手の返り血も、既に男にとっては過去に過ぎない。 愛…
笑顔の裏に、隠している。 隠していることすら、綺麗に覆い隠している。 猩々と哭く声に耳を傾けることなく、男は帽子の下から、ちらりと視線を走らせた。 紅の一閃が、音もなく夜を切り裂く。 倒れ伏す相手の返り血も、既に男にとっては過去に過ぎない。 愛…
静謐な湖のようだ。 波飛沫ひとつたたず、静寂を湛えている。 澄みすぎた水は生を育むことはない。 しかし、風吹かぬ水面下には激情が眠っているのだ。 長い時間をたゆたってきた灼熱は、花弁の如く、己の領域を犯すものを切り刻む。 桜吹雪の後ろに守れてい…
静謐な湖のようだ。 波飛沫ひとつたたず、静寂を湛えている。 澄みすぎた水は生を育むことはない。 しかし、風吹かぬ水面下には激情が眠っているのだ。 長い時間をたゆたってきた灼熱は、花弁の如く、己の領域を犯すものを切り刻む。 桜吹雪の後ろに守れてい…
黒き空を見上げ、彼は瞳を細めた。 彼方から、薄く、だが力強い光が射してくる。 長く長く続いて来た夜に、漸く一条の旭が姿を顕したのだ。 彼は、手にした刃を一振りする。 濁っていたものが切っ先から勢いよく放たれた。 未練なのか後悔かはわからない。 …
黒き空を見上げ、彼は瞳を細めた。 彼方から、薄く、だが力強い光が射してくる。 長く長く続いて来た夜に、漸く一条の旭が姿を顕したのだ。 彼は、手にした刃を一振りする。 濁っていたものが切っ先から勢いよく放たれた。 未練なのか後悔かはわからない。 …